猫がドッグフードを食べると良くない4つの理由

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今回は、猫がドッグフードを食べると良くない4つの理由をまとめていきます。

犬と猫が一緒に暮らしているご家庭の方に、ご参照いただければ幸いです。

 忙しい方のための三行まとめ
  • 一時的に犬用ドライフードを食べても問題はないが、長期的には良くない
  • なぜなら、タウリン・ナイアシン・ビタミンA欠乏症の心配があるため
  • 犬OK、猫NGの添加物がある。犬のおやつは猫にはあげないほうがベター
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犬と猫の違い

普段、ペットとしてまとめられることが多い犬と猫ですが、その生態は大きくちがいます。

大きな相違点として犬は雑食動物であるのに対し、猫は肉食動物であること】があげられます。

植物性成分をすりつぶす
ための臼歯が26本ある
臼歯14本しかない
猫の1.5倍腸管犬の0.67倍
猫に比べて要求量は少ないタンパク質・アルギニン犬に比べて要求量が多い
体内で合成できるタウリン・ナイアシン体内で合成できない
転換できるカロテン→ビタミンA転換できない
甘味を好む味覚甘味を感じない

このように、犬と猫にはことなる点が多くあるため、犬には犬用フード、猫には猫用フードを与えることが推奨されています。

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猫がドッグフードを食べると何が問題なのか

猫が勝手に犬のお皿から

ドッグフードをつまみ食いしてた。

間違えてドッグフードを買っちゃった。

捨てるのはもったいないからキャットフードに

少しずつ混ぜて食べさせられないかな。

犬猫同居のご家庭ではありうる話です。

具体的に猫がドッグフードを食べると何が問題なのでしょうか。

結論から申し上げると、猫が犬用ドライフード(いわゆるカリカリ)のドッグフードを一時的に(あるいは少量)食べる分にはとくに問題はありません

ただし、長期的に猫が犬用のフードを食べ続けると、タウリンやアルギニンなどの栄養成分が不足してしまいますので注意が必要です。

理由その①:タウリンが不足する可能性

【タウリン】とはタンパク質を構成する【含硫アミノ酸】から合成される物質で、動物由来のタンパク質には高濃度でふくまれていますが、植物性タンパク質には含まれていません。

犬はタウリンを体内で合成することができるので、ドッグフードにタウリンが添加されることはほとんどありません。

しかし、猫はタウリンを体内で合成できません。必要量のすべてを食事からとる必要があり、多くのキャットフードではタウリンが添加されています。

愛犬にあたえているドッグフードが植物性タンパク質をおもな成分とするものだった場合、猫がそれを食べ続けると慢性的にタウリンが不足するおそれがあります。

タウリン不足で引き起こされる病気

  • 白内障(長期間のタウリン不足)
  • 中心性網膜変性症
  • タウリン不足の母猫から生まれた子猫で生存率の低下、小脳性発育不全、虚弱体質、後肢発達異常など
  • 拡張型心筋症

理由その②:アルギニンが不足する可能性

【アルギニン】もタウリンと同じくアミノ酸の一種で、犬と猫にとっては必須アミノ酸のひとつ。

ちなみに、ヒトは体内で合成できるので

ヒトにとっては必須アミノ酸ではありません。

おもに、干し湯葉、かつお節、きな粉、乾燥大豆、若鶏肉などに含まれています。

血管を拡張する、血流を調整する、尿素回路の働きに作用してアンモニアを解毒する、免疫機能を高めるなど、さまざまな機能を有しており、猫の健康維持に欠かせない栄養素のひとつです。

アルギニン不足で引き起こされる病気

  • 急性アンモニア中毒

アルギニンがまったく入っていない食事を与えた場合、食後2時間で嘔吐、呼吸困難などの症状が発症。最悪の場合、死亡報告もあります。

ただし、アルギニンは犬にとっても必須アミノ酸

総合栄養食と書かれたドッグフードであれば犬にとっての必要アルギニン量はかならず含まれています

上記参照の実験資料はアルギニンがまったく入っていない食事を与えた結果であり、総合栄養食のドッグフードでアルギニン含有量がゼロということはありえません。

ドッグフードを食べたからといって急性アンモニア中毒を起こす可能性はきわめて考えにくいと一言申し添えておきます。

ただし、アルギニンについても猫は犬に比べて要求量が高いため、長期間ドッグフードを食べ続けるとアルギニン不足状態におちいる危険性はあると考えられます。

理由その③:ビタミンA欠乏症になる可能性

【カロテン】とはニンジン・かぼちゃ・さつまいもなどにふくまれる植物色素のことをいいます。

ヒトや犬では、体のなかでカロテンをビタミンAに変換して利用することができますが、猫はこの変換ができません。そのため、ビタミンAの必要量はすべて動物性食品から摂取する必要があります。

動物性食品 + 植物性食品 =ビタミンA必要量
動物性食品 =ビタミンA必要量

ビタミンAは肝臓に蓄積されているため、一時的に不足しても欠乏症になることはありません

ですが、猫にドッグフードを長期間与え続けていると、植物性食品分のビタミンAが常に不足してしまい、ビタミンA欠乏症を引き起こす可能性があります。

ビタミンA不足で引き起こされる病気

  • 夜盲症
  • 眼球乾燥症
  • 皮ふ障害
  • 免疫機能の低下
  • 腎炎 など

理由その④:食品添加物【プロピレングリコール】に要注意

猫が犬用のドライフードを食べたとしても、一時的(あるいは少量)であればとくに問題ありません。

注意しなければならないのは、猫が犬用のおやつを食べてしまったというケース。

じつは食品添加物の中には「犬には使用できて、猫には使用できない」ものがあります。

それが「プロピレングリコール」。

ヒト用としてもメジャーな食品添加物ですが、ペットフード安全法※において、猫用のフードには使用してはならないと定められています。

愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称:ペットフード安全法)

なぜ猫だけプロピレングリコールを使用してはいけないのか

プロピレングリコールは通常、品質保持剤や保湿剤として使われています。

有毒性はそれほど高くなく、また、摂取してもヒトでは45%が、犬では88%が排出されることから、あまり危険視はされていません。

ところが、猫ではたった0.5%プロピレングリコールを添加しただけでも、赤血球の減少や赤血球中のハインツ小体の増加などの健康被害が発生しました。

そのため、現在、ペットフード安全法においては、猫用フードへのプロピレングリコールの使用を一切禁止しています。

じゃあ、0.5%以下だったら

猫用に添加してもいいってこと?

残念ながら0.5%以下だと保湿効果はないんです。

0.5%以下を添加したとしても何の役にも立たない、

ということ。0.5以下なら添加するだけ無駄なんです。

ということで、猫用のフードでは使用禁止されているプロピレングリコールですが、犬用としては多くのおやつなどで使用されています。

市販品でプロピレングリコールが入っている製品

半生タイプのフード(セミモイストフード)

  • セミモイストフード
  • ソフトドライフード
  • 半生タイプ 

などの表記があるもの

動物性の肉を使用したおやつ

  • ジャーキー類
  • ガム類
  • ふりかけ類
  • 薄切り肉・細切り肉の形状をしたおやつ

など、「やわらか」「ふっくら」「もちもち」「しっとり」などの表記があるものに、よく入っています。

ちなみに、プロピレングリコールの使用量が0.6%以下の場合には表示の義務はありません

つまり、0.6%プロピレングリコールが入っていても、表示されていない可能性がある、ということ。言い換えれば、パッケージ裏の『原材料名』に書かれていないからといって、添加されていないとは言い切れないということですね。

やはり犬は犬用、猫は猫用

あげるほうが安心ですね

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まとめ

犬用のドライフードを短期的、あるいは一時的に愛猫が食べてしまっても、大きな問題はありませんが、長期的にドッグフードを与えることは猫の生態上、決して良いとはいえません。

また、愛猫が犬用のおやつに興味津々の場合、原材料にプロピレングリコールとあるものはとくに、勝手に愛猫が食べてしまわないよう、ご注意くださいね。

最後までお読みいただき、

ありがとうございました(^^)

■参照
・日本農芸化学会誌「アルギニン欠乏によるネコの急性アンモニア中毒」
・プロピレングリコールの表示について(昭和五七年一〇月一六日)(環食化第四五号)(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省環境衛生局食品化学課長通知)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta0587&dataType=1&pageNo=1)

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