本を読みたい気持ちはあるけれど、何を読めばいいのか分からない。
そんなお悩みをお持ちの方はいないでしょうか。
経済産業省のウェブマガジン「METI Journal ONLINE」によると、国内で年間に発売される新刊書は約7万冊。1日に約200冊が新たに発売される計算になるそうです。
これだけ多くの本が発売されているのですから、その中から「読みたい1冊」を選ぶのが難しいのも当然かもしれません。
わたしは趣味が読書なので、よく本を読みます。
読みたい本を決めてから探しに行くこともあれば、ぼんやり棚を眺めていて偶然見つけた本を選ぶこともあります。
読んでいる本の中に登場した本や作家が気になり、そこから次の1冊へ進むこともあります。
今回の記事では、「本を読みたいけれど、何を読んだらいいのか分からない」という方に向けて、わたしが本を探すときに使っている方法や、本と出会うきっかけを13個紹介します。
どんな本を読もうか迷ったときの参考にしていただければうれしく思います。
興味のある本を自分から探してみる
まずは、自分の興味のあるジャンルから本を探す方法です。
読みたい本が具体的に決まっていなくても、「最近なんとなく気になること」まで範囲を広げれば、意外と候補は見つかります。
世界の名著などをまとめた本から探す
「名著といわれる本を読んでおきたいけれど、どこから手をつければいいのか分からない」というときは、世界の名著や古典を紹介した本を1冊読んでみるのもおすすめです。
1冊の本について詳しく解説したものではなく、多くの名著について、あらすじや要点が簡単に紹介されているものが向いています。
ぱらぱらと全体を流し読みして、
「これは面白そう」
「もう少し詳しく知りたい」
と思ったものがあれば、実際の本を手に取ってみましょう。
古典や名著というと少し構えてしまいますが、「面白そうなものを探すためのカタログ」と考えれば、気軽に利用できます。
また、名著と呼ばれるものの中には漫画になっているものもあります。漫画を読み、その後、原作を読むとイメージが湧きやすいので物語としても読みやすくなるかもしれません。
気になっている言葉から検索する
最近よく耳にする言葉や、意味を詳しく知りたい言葉があれば、それを検索ワードにして本を探してみる方法もあります。
たとえば、
などです。
検索すると、そのテーマを扱った本がいくつも見つかります。
もしも学びたい分野がはっきりしていて、それに関する勉強を始めたい場合は、「初心者」「入門」などの言葉を加えると、自分の知識量に合った本を探しやすくなるでしょう。
自己投資としての読書と考えると、つい資格や仕事などに直接関係する本を選ぼうとしてしまいますが、それだけが自己投資ではありません。
全然ちがうジャンルの本を読んでいたところ、「この方法は自分の仕事にも活かせるのではないか」「このアイデアは勉強にも使えそうだ」という発見につながった、というのは珍しくない話です。
このような偶然の出来事から価値のあるものを発見することを「セレンディピティ」と呼ぶことがあります。
あるいは「ちょっと気になる」という小さな好奇心から始めた読書が、思いがけない分野への興味につながり、そこから新しい仕事や趣味へ発展していく可能性もあります。
日々の忙しさに追われ、自分の中にある「少し気になっている」を無視してしまうこともあると思います。ですが、これを大事にしてみることで新しい自分の発見につながる可能性もあると、わたしは思っています。
映画やドラマを観てから原作を読む
映画を観て面白かった作品に原作があるなら、読んでみるというように、本から入るのではなく、映画やドラマなどの映像作品から入る方法もあります。
すでに登場人物や大まかなストーリーが分かっているため、普段あまり本を読まない人でも入りやすい方法です。
また、映画と原作では、登場人物の描写や結末、物語の構成などが異なることもあります。
「映画ではこう描かれていたけれど、原作ではどうなのだろう」
と比較しながら読むのも面白いでしょう。
作品によっては「原作を読んでから映画を観たい」「映画を観たあとで原作を読みたい」など、人によって好みはあると思いますが、これはもう人それぞれです。
何の前情報もないまま映画を楽しみたいと思っている場合なら、そもそも映画を観るまで原作があることを知らなかった、ということもあります。

子どもの頃、ジブリの名作「魔女の宅急便」を観て、大人になってから原作を読みました。いずれも名作ですが、わたしの個人的な見解で言うと圧倒的に原作が面白かった。映画だけを観て満足せず原作を読んでよかった、と心から思った読書体験でした。
本がたくさんある場所へ行ってみる
特に今は気になる言葉はない、などで読みたい本が決まらないなら、先に本がある場所へ行ってしまうのもひとつの方法です。
インターネットでは自分が入力した検索ワードに近いものが表示されますが、図書館や書店では、自分では思いつきもしなかったジャンルの本が目に飛び込んでくることもあります。
時間を作って図書館をゆっくり歩く
わたしが特に好きなのが、時間のある日に図書館の棚をゆっくり眺める方法です。
あえてジャンルすらも決めず、興味のあるなしも考えず、本の並んでいる棚をゆっくり歩いてみます。
タイトルが気になるものがあれば、手に取ってみる。
目次を見てみて、中身を少し読んでみる。
興味がある単元や章がひとつでもあれば借りてみる。
図書館なら、購入するかどうかを考えず気軽に試せるのも利点です。
普段なら自分からは検索すらしない分野の本を、隣に並んでいたという理由だけで手に取ることもあります。
こうした図書館を利用した方法は、決めた本を買うだけの本の選び方とはまったく違います。偶然の出会いが起こりやすく、未知の世界を知るきっかけにつながっていくこともあります。
ただし、新刊はまだ所蔵されていなかったり、人気の本は予約が多く、すぐに借りられなかったりすることもあります。最新刊を探したいときは、書店と使い分けるとよいでしょう。
司書さんに相談してみる
図書館でブラブラしてみても何を読めばいいか分からないときは、図書館の司書さんに相談する方法もあります。
図書館には、利用者が必要としている資料や情報を探す手伝いをする「レファレンスサービス」があります。
「○○について知りたい」「こんなテーマの本を探している」
など、知りたいことがあるなら相談してみるのもよいでしょう。
また、図書館によっては、司書さんのおすすめ本を紹介するコーナーや、季節・社会の出来事などに合わせた特集棚が作られていることがあります。
自分で1冊ずつ探すのが大変なら、こうした棚から選んでみるのもおすすめです。
本屋の新刊棚やランキングを見る
最新の本の中から探したいなら、本屋へ行ってみましょう。
入口付近の新刊や話題書が平積みされたコーナーや、ランキングの棚を見るだけでも、今どのような本が出版され、読まれているのかが分かります。
あるいは、書店員さんが書いたであろうポップから選んでみるのも面白いと思います。

学生時代に本屋でアルバイトをしていたとき、児童書のコーナーを任されていました。自分が作ったポップの本が売れたときはうれしかったです。
あと、わたしが本を選ぶ際、中身ではなく装丁に惹かれて購入することもあります。
特に、辻仁成氏の「ミラクル」で出会った装画家の望月通陽さんのイラストが好きで、表紙を集める目的で光文社古典新訳文庫を読みました。
読書には試験のような正解があるわけではありません。
中身も作家も全然知らない状態で「表紙が好きだったから」という理由だけで選んでみる(いわゆる、ジャケ買い)のも、面白い本に出会えるかもしれません。
文学賞や本屋大賞などから探す
小説を読みたいけれど作品を決められない場合は、文学賞の受賞作や候補作から探す方法もあります。
これらの本は、選考委員や書店員などによって評価・選出された作品なので、まったく未知の本から選ぶより候補を絞りやすくなります。
たとえば、
などがあります。
もちろん、賞を受賞しているからといって、自分にとっても面白い本とは限りません。
それでも、膨大な作品の中から候補を絞るための入口としては便利です。
現在の受賞作だけではなく過去の受賞作品までさかのぼれば、かなり多くの本の中から探すこともできます。
誰かに本を教えてもらう
自分だけで選ぶにこだわらず、人から勧められたものを読んでみることで、それまでまったく興味のなかった世界を知ることもあります。
知人が読んでいる本を訊いてみる
身近に本を読む人がいるなら、最近何を読んだのか訊いてみるのもおすすめです。軽い気持ちで「最近、何か面白い本を読んだ?」と尋ねてみましょう。
本好きの中には、本の話をするのも好きな人が多いので、喜んで教えてくれるかもしれません。
普段読むジャンルが違う人ほど、自分では思いつかなかった本を教えてくれる可能性があります。
さらに、同じ本を読めば、
など、感想を言い合うこともできます。
心に残る本ほど、誰かと感想を語り合いたくなることがあります。
誰かに勧めてもらった本を読むことで、読後にひとりで考えるだけだった世界に、誰かと話す楽しみが加わることもあります。
本を紹介してもらうだけでなく、本について話せる相手ができることも、読書を続ける楽しみのひとつになるかもしれません。

わたしの周りではあまり本を読む人がいないので、誰かと読んだ本の話をする、なんて贅沢なことはできません。そういうときは、自分が読んだ本の感想を書いている人のブログを読んで溜飲を下げるようにしています。
好きな作家がおすすめしている本を読む
好きな作家がいるなら、その人がすすめている本を探してみる方法もあります。
作家によっては、インタビューやエッセイ、雑誌などで、好きな作家や影響を受けた作品について語っていることがあります。
たとえばミステリーが好きなら、「このミステリーがすごい!」など、作家や評論家などが作品を選ぶ企画も本探しの参考になります。
「自分が好きな作品を書いた人は、どんな本を面白いと思うのだろう」
という視点で探すと、その作家や作品に影響を与えた(かもしれない)本に出会えるかもしれません。
AIにおすすめを訊いてみる
最近ではAIに相談して本を探す方法もあります。
単に、
「おすすめの本を教えて」
と訊くだけではなく、
など、条件を詳しく伝えるほど候補を絞りやすくなります。
「なぜその本がおすすめなのか」
「5冊の中で初心者向けの順番に並べて」
などと追加で訊けることもAIを使う利点です。
ただし、AIは実在しない書籍や誤った書誌情報を提示する可能性もあります。気になる本が見つかったら、出版社や図書館、書店などで、実際に出版されている本なのか確認してから探すようにしましょう。
1冊の本から次の1冊へ進む
本を1冊読み終えたら、その本で終わりにせず、そこから次の本を探す方法もあります。
1冊の本から枝が伸びるように、興味の範囲が少しずつ広がっていく感じがするので、この探し方もとても好きな方法です。
本の中で紹介されている本や参考文献を読む
本を読んでいると、その中で別の本が紹介されたり、引用されたりしていることがあります。
「○○という本では、このように述べられている」
と本文に登場することもあれば、巻末に参考文献としてまとめられていることもあります。
その中から気になるものを1冊選んでみましょう。特に、心理学やビジネス、社会科学などの本では、著者が参考にした研究や書籍が掲載されていることがあります。
読んでいたテーマをさらに深く知ることができるため、「同じテーマについて、もっと知りたい」と思ったときには便利な方法です。
参考文献を1冊読み、その参考文献からまた次の本を探す。
そうしていくと、ひとつの興味から何冊もの本へつながっていきます。
面白かった作家の別作品を読む
1冊読んで面白かったなら、同じ作家の別の作品を読んでみる。
とても単純ですが、失敗の少ない探し方です。
わたしの場合、有栖川有栖先生の本は、まさにこの方法で読むようになりました。
飛行機のおともにと空港で購入した、当時の最新刊「絶叫城殺人事件」が面白くて、「この作家さんのほかの作品も読んでみたい」と思い、そこから別の作品へと進んでいきました。
作品数の多い作家なら、それだけでしばらく読む本に困らなくなるかもしれません。
さらに興味があれば、その作家が影響を受けた作家や作品まで調べてみる。
すると、ひとりの作家から、また別の作家へと読書の世界が広がっていきます。
「なぜこの本を読んだのか」をたどって次を探す
読み終わった本について、
「そもそも、自分はなぜこの本を選んだのだろう」
と振り返ってみるのもおすすめです。
テーマに興味があったのか。
文章が好きだったのか。
著者の考え方に惹かれたのか。
物語の設定が好きだったのか。
理由が分かれば、その要素を手がかりに次の本を探せます。
たとえば心理学の本を読んで「人間の意思決定の仕組み」が面白かったなら、そこから行動経済学へ進むかもしれません。
歴史小説を読んで、物語より実在した人物に興味を持ったなら、次はその人物の評伝を読んでもよいでしょう。
本を読み終えるたびに興味の方向を少しずつ確認していけば、自分だけの読書ルートができていきます。
気になる本が何冊も見つかったときは
ここまでの方法を試すと、今度は、
「読みたい本が多すぎて決められない」
という逆の問題が起こるかもしれません。
そんなときも、あまり難しく考えなくて大丈夫です。
書店なら、タイトルだけで決めずに目次や「はじめに」を少し読んでみる。
図書館なら、気になる本を何冊か借りてみる。
そして、「今の自分が一番読みたい」と思ったものから始めてみましょう。
読み始めたなら必ず完読しなければならない、ということはありません。
少し読んでみて合わなければ、途中でやめても構いません。
実際、わたしは目次を見て、自分には合わなそうだと棚に戻した本も無数にあります。
「選んだ本」を無理やり「選んでよかった本」にしようとするよりも、いろいろな本を試しながら、「読んでよかったと思える本」を探していくほうが気楽です。
自分では選べないなら「人に選んでもらう」のも面白い
最後に、わたし自身はまだ利用したことがありませんが、一度試してみたい本の選び方があります。
北海道砂川市にある「いわた書店」の「一万円選書」です。
一万円選書では、読書歴やこれまでの人生などについて記入する「選書カルテ」をもとに、その人に合う約1万円分の本を選んでもらえます。
自分で本を選べば、どうしても過去に面白かったジャンルや、自分の興味の範囲から探しがちです。けれど、自分とは違う視点を持つ人に選んでもらえば、「自分なら絶対に手に取らなかった」という本と出会えるかもしれません。
それもまた、面白い読書体験になりそうです。
なお、一万円選書は募集時期が決まっており、いつでも申し込めるサービスではありません。興味のある方は、いわた書店の公式サイトで最新の募集状況を確認してください。
まとめ|「偶然見つけた1冊」から読書が広がることもある
毎日たくさんの本が発売されている中から、自分にとっての1冊を選ぶのは簡単ではありません。
でも、その数千、数万冊から「面白かった」と思える本が見つかったらと考えるとわくわくしませんか。これはつまり「宝さがし」なんです。
そんな小さなきっかけから手に取った1冊が、思いがけず新しい興味につながるかもしれません。
セレンディピティは、いつだって起こる可能性を秘めています。
もちろん読書体験も例外ではありません。
「何を読めばいいのか分からない」ときは、「当たりの1冊」を探すより、まずは本と出会う機会そのものを増やしてみる。そして少しでも気になったなら、読んでみる。
その1冊から、また次の1冊が見つかるかもしれません。
本を選ぶ時間も含めて、ぜひ読書を楽しんでみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。






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