片づけたい気持ちはあるけれど、持ち物は捨てたくない、というお悩みをお持ちの方はいませんか。
わたしは、大きな断捨離を経験した後、物を捨てることに抵抗がなくなりましたが、それ以前は物を捨てられないタイプでしたので、気持ちは何となく分かります。
「いつか使うかもしれない」
「思い出があるから捨てにくい」
「自分の物を勝手に動かされたくない」
そういう気持ちにもかかわらず、「片づけたいなら、物を捨てないといけない」という義務感で物を処分するのは、なかなかしんどいと思います。
わたしは断捨離で人生観がよい方に変わったひとりですので、物を手放すメリットも知っています。
でも、「物を捨てることだけが、よい人生を連れてくる」とも考えていません。
とはいえ、物があると困ることもあります。
そのひとつが、地震などの災害が起きたときです。
物を捨てられないのはよいとしても、それを「人が通るための逃げ道(=動線)」上に置いておくと、いざというときに通路がふさがれ、避難までに時間がかかってしまうことにもなりかねません。
部屋全体を一度に片づけなくても構いません。
邪魔にならない位置に移動できるのであれば、必要以上に物を捨てなくても大丈夫です。
地震はいつ起こるか分からないからこそ、まずは玄関やベランダなど、外へ出るための「逃げ道」だけ片づけてみませんか。
まず確保したいのは「人が通る場所」
動線というと少し難しく感じますが、簡単にいえば、人が日常的に移動するときに通る経路のことです。普段は何気なく歩いている場所でも、地震などの緊急時には、そのまま「逃げ道」になります。
たとえば、
などが当てはまります。
普段であれば、床にバッグや段ボールが置いてあっても、少しよければ通ることができるなら気にならないかもしれません。
ですが、
もしも真夜中に地震が起きたとしたら。
あるいは停電して暗くなってしまったら。
普段なら避けられる物でも大きな障害になってしまうことがあります。
「もしも、寝ているときに地震があったら、この道から部屋を出る」
「ご飯を作っているときなら、すぐに火を止め、ここを通って廊下に出よう」
など、さまざまなシチュエーションを想像して、「ここには物を置かない」と決めてしまうのがおすすめです。
それらの物を処分するかどうかは、動線を確保した後に考えて構いません。
まずは人やペットが安全に通れる場所をつくることを優先しましょう。
動線を片づけるときに確認したい3つの場所
動線を確認するときは、物が置かれている現在の状態だけを見るのではなく、「その物が倒れたり動いたりした場合」まで想像しておくと安心です。
部屋から玄関・外へ出る道がふさがっていないか
最初に確認したいのは、部屋から外へ出るまでの道です。
廊下や玄関周辺に、
などが置かれていないでしょうか。
日常生活では問題なく通れる程度の物でも、緊急時には慌ててしまい、いつものように冷静によけられないことがあります。
とくに、寝室から玄関までの道は必ず確認しておきたいところです。就寝中に地震が発生した場合、暗いなかを手探りで移動しなければならない可能性もあります。
「いつもここにあることを知っているから大丈夫」と考えるのではなく、できるだけ何もよけずに歩ける状態を目指してみましょう。
玄関以外にも安全に屋外へ出られる場所がある場合は、そこまでの動線もふさがれていないか確認しておくと安心です。
倒れた家具が避難経路をふさがないか
普段は通れる状態でも、大きな家具が倒れることで避難経路がふさがれる場合があります。
たとえば、
などです。
もちろん、事前に家具が倒れないように壁に留めたり、天井との間に突っ張り棒で支えたりしておくことは大切です。ですが、それらの固定も絶対ではありません。
もし倒れた場合、
を考えておくと安心です。
「物を置く場所がないので、階段や廊下に置いている」という状態になっていませんか。
捨てることに抵抗があるのであれば、ひとまず、部屋の隅など「地震が起きて崩れても邪魔にならない場所」に移動させておくようにしましょう。
収納の扉が開いたときに道をふさがないか
見落としやすいのが、収納の扉です。
地震などで収納の中にある物が崩れると、その力で扉が押されて開いてしまうことがあります。
クローゼットや押し入れの扉が開いたことで、廊下や部屋の出入り口がふさがれてしまう可能性があります。実際、わたしが被災した際も、クローゼット内に積んでいた本が崩れ、扉を内側から押し開けていました。
確認しておきたいのは、
などです。
扉が開いた場合や中の物が飛び出した場合でも、人が通れるスペースが残るかを一度確認してみましょう。
特に食器棚などは中のガラスや陶器が割れてしまうとケガをする危険性もあります。ほかにも、ガラス製品などを飾り棚に飾る場合も、できるだけ動線上には置かないほうが良いかと思います。

人間は危険だと分かっている場所には近寄りませんが、動物はパニックにもなっているので危ない場所でも入っていってしまいます。犬や猫がいる家庭では、できるだけ動物の近くに割れものを置かないようにしていただけると幸いです。

動線には置かないほうがいい5種類の物
動線を片づけるときは、「何を置かないか」をあらかじめ決めておくと管理しやすくなります。
わたしなら、倒れて困る家具以外に、次の5種類の物はできるだけ動線上に置かないようにします。
重くて簡単に動かせない物
まず避けたいのは、重い物です。
たとえば、
- 中身の入った、大きな段ボール
- 積み上げられた本
- 重い植木鉢
- 飲料水の箱
などです。
普段は通行の邪魔になっていなくても、地震で位置がずれたり倒れたりすると、簡単には動かせなくなることがあります。
緊急時に「これを動かさないと外へ出られない」という状態は避けたいところです。
重い物を床に置くのであれば、できるだけ人が通らない壁際などに移動させておくようにしましょう。
足を引っかける物
コード類も動線上には置かないほうが安全です。
延長コードや充電ケーブルなどは細いため、普段はそれほど邪魔に感じません。けれど、急いで歩いているときや暗い場所では、足を引っかけて転倒する原因になることがあります。
コードがどうしても通路を横切る場合は、
- その物が必要か考える
- 配置そのものを見直す
- 配線を壁際に沿わせる
- 市販の配線カバーなどを利用する
などの方法を考えてみましょう。
踏むと危険な硬い物・とがった物
小さな物こそ油断できません。
レゴブロックやプラモデルの部品、工具など、硬かったりとがっていたりする物は、床に落ちていると、大変危険です。裸足でレゴを踏んだときの痛みは、平時でもなかなかのものです。
緊急時はパニックになっていますので、痛みに気づきにくいこともあります。避難したあとで大きなケガに気づくということがないよう、少なくとも動線上からは排除しておきましょう。
- 小さなおもちゃは、部屋の中央にレジャーシートを敷いて、その中だけで遊ぶ
- 釘やネジなどの工具、あるいはクリップやホッチキスの芯などの文具は専用のボックスで管理する
- 危険なだけで使っていない物があれば処分する
など、足元の安全を守る方法を考えてみてください。
倒れたりこぼれたりすると片づけにくい物
動線上には、倒れたあとに「新しい障害物」をつくる物も置かないほうが安心です。
たとえば、
- 鉢植え
- 水槽
- 洗剤など液体の入った容器
- 猫砂
- 米や小麦粉などの粉末
- ガラス容器
などです。
植木鉢が倒れれば土が広がりますし、水槽や液体の容器が倒れれば床が濡れます。
さらにガラスが割れれば、簡単には歩けなくなってしまいます。
「これが壊れたら大変だな」と思う物は、避難経路の近くに置かないか、危険をおかしてまで持っておく必要はないなと思えば処分するのもよいと思います。
踏むと滑りやすい物
布や紙、ビニール袋なども注意したいところです。
一見すると危険には見えませんが、踏んだ瞬間に滑って転倒する場合があります。
たとえば、
- 衣類や毛布
- タオル
- 新聞や雑誌
- コピー用紙やチラシ
- ビニール袋
- 薄いプラスチック製品
などです。
とくにフローリングの上では滑りやすいため、できるだけ床に置かないようにしたいところです。

猫用にフェイクファーの毛布があるのですが、これもめちゃくちゃ滑るので、キャットタワーの上など猫しか届かない場所だけで使用するようにしています。
「捨てる」のではなく「動線から移動させる」
片づけをするというと、どうしても「不要な物を捨てなければならない」と考えてしまいがちです。
けれど、物を捨てることに抵抗がある人にとって、「これは必要?不要?」と判断し続ける作業は大きな負担にもなるでしょう。
ですが、地震の被災者としては、手放しで「物は捨てなくてもいい」とお伝えすることはできず、ひとまず「動線だけ片づける」という方法を紹介しました。
とにかく、優先すべきは安全です。
「これは通路にあって邪魔だから、邪魔にならない場所に移動させよう」
ができれば、物を処分できなくても圧倒的に避難はしやすくなるはずです。
捨てるか残すかを決めるのは、いったん邪魔にならない場所に移したあとでも構いません。
いわば、「捨てる片づけ」ではなく「避ける片づけ」です。
この方法なら、物を手放すことに抵抗がある人でも比較的始めやすいのではないでしょうか。
\この際、断捨離もしてみようかなと思っている方には、こちらの記事も役に立つかもしれません。/
まとめ|捨てられなくても「安全な道」はつくれる
物を捨てることに抵抗があるなら、無理に何もかも処分しなくても大丈夫です。
ですが、地震はいつ起きるか分かりません。まずは、毎日歩く場所や、いざというとき外へ出るための動線だけを、しっかり片づけてみましょう。
片づける際、確認したいのは、
という5点です。
重い物やコード類、踏むと危険な物、こぼれやすい物、滑りやすい物などを動線上から移動させるだけでも、安全性を高めることにつながります。
「物をたくさん捨てる」だけが片づけではありません。
邪魔にならない場所に、きちんと収納することも立派な片づけです。
捨てるか残すかの判断は、動線を確保したあとでもできます。
まずは、物を捨てることにこだわらず、自分や家族が安心して歩ける道をつくる。
その中で家族の安全のためにいらない物があれば処分する。
その小さな片づけが、有事の際の大きな差になるかもしれません。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。





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