はじめに
文章力を身につけたいと思い、少し前から日々の習慣として「文章の模写」を始めました。
模写とは、お手本にしたい文章を一字一句書き写す練習のことです。
はじめる前は、「ただ書き写すだけで本当に文章力が上がるのだろうか」と思っていたのですが、実際に続けてみると、文章のリズムや語尾の使い方、漢字とひらがなのバランスなど、読むだけでは気づきにくい発見がありました。
もちろん、模写をすればすぐに文章がうまくなるわけではありません。
けれど、ブログやnoteを書きたい人、語彙力や表現力を増やしたい人にとって、模写は大人になってからでも取り入れやすい学び直しの方法だと感じています。
この記事では、わたしが実際に模写をしてみて感じたこと、模写で学べること、そして続けるうえで気をつけたい点をまとめました。
文章を書く力を少しずつ育てたい方の参考になればうれしいです。
模写とは
模写とは、お手本にしたいものをまねて写し取ることです。絵や写真、手芸などで使われることもありますが、この記事では「文章の模写」に限定してお話しします。
ここでいう文章の模写とは、好きな本や参考にしたい文章を、一字一句そのまま書き写す練習のことです。
ただ読むだけでは気づきにくい文章のリズムや、言葉の選び方、句読点の打ち方、漢字とひらがなのバランスなどを、実際に手や指を動かしながら確認できるのが模写のよさだと思います。
もちろん、模写をするだけで急に文章がうまくなるわけではありません。
けれど、「文章力を身につけたい」「自分の書く文章を少しでも読みやすくしたい」と思っている人にとって、模写は取り入れやすい練習方法のひとつです。
模写をするのは、どんな本がいい?
模写をする文章は、自分が「こういう文章を書けるようになりたい」と思えるものを選ぶのがおすすめです。
大切なのは、「有名だから」「難しそうだから」という理由だけで選ばないことです。
自分が読んでいて心地よい文章、最後まで読みたくなる文章、こんなふうに書けたらいいなと思える文章を選ぶと、模写も続けやすくなります。
反対に、あまり好きではない文章や、自分の目指す方向とまったく違う文章を選んでしまうと、書き写すこと自体が苦痛になりやすいです。
文章力を上げたいと思うと、つい「名文を選ばなければ」と考えてしまいますが、最初はそこまで難しく考えなくても大丈夫です。
まずは、自分が「この文章、いいな」と思えるものから始めてみる。
それだけでも、読むだけでは見えなかった発見があるはずです。

模写をするなら、短い文章と長い文章はどちらがいい?
はじめて模写をするなら、まずは短い文章から始めるのがおすすめです。
いきなり長編小説や一冊まるごとの模写に挑戦すると、途中で疲れてしまい、「模写って大変だな」という印象だけが残ってしまうかもしれません。
最初は、
など、短い範囲から始めると取り組みやすいです。
短い文章でも、実際に書き写してみると、文章の長さ、句読点の位置、言葉のつなぎ方、語尾の変化など、意外と多くのことに気づきます。
ただし、構成力や全体の流れを学びたい場合は、ある程度まとまった文章を模写するのも勉強になります。
たとえば、ブログ記事を書けるようになりたいなら、記事の冒頭からまとめまでの流れを見る。
エッセイを書きたいなら、話の入り方から結び方までを追ってみる。
小説を書きたいなら、短編小説を一作通して見てみる。
このように、自分が何を学びたいかによって、模写する文章の長さを変えていくとよいと思います。
最初は短く。
慣れてきたら、少し長く。
そのくらいの気持ちで始めると、無理なく続けやすくなります。
模写は手書きとパソコン、どちらがいい?
模写は、手書きでもパソコンでもできます。
手書きのほうがじっくり言葉を味わいやすいですし、ノートに書くことで記憶に残りやすいと感じる人もいると思います。
一方で、ブログやnote、SNSなどで文章を書きたい人は、パソコンで模写する方法もおすすめです。理由は、文章力だけでなく、タイピングの練習にもなるからです。
せっかく文章を書く力を身につけても、入力に時間がかかりすぎると、書きたいことに手が追いつかないことがあります。とくにブログやnoteを書きたい場合、最終的にはパソコンやスマホで文章を入力することが多いはずです。
そのため、文章を書くことを発信や仕事につなげたい人は、パソコンで模写をするのもよい練習になるかと思います。わたしも、文章全体を模写するときはパソコンを使うことが多いです。
ただ、語尾の表現や好きな言い回し、印象に残った言葉などは、手書きで手帳などに書き出すようにしています。
文章全体を写すならパソコン。
短い言い回しや語尾を覚えたいときは手書き。
このように、目的によって使い分けると、模写を続けやすくなると思います。

文章力も上がって、タイピングも少し早くなれば一石二鳥ですね。
わたしの模写のやり方
模写のやり方に、絶対の正解があるわけではありません。
手書きでじっくり写す人もいれば、パソコンで入力する人もいます。
一冊まるごと書き写す人もいれば、好きな一節だけを抜き出して練習する人もいるでしょう。
大切なのは、「ただ写すだけ」で終わらせないことだと思います。
せっかく模写をするなら、文章のどこを見るのか、何を学びたいのかを少し意識しておくと、ただの書き写しではなく、文章力を育てる練習になります。
ここでは、わたしが実際に模写をするときに意識していることを紹介します。これが唯一の正解というわけではありませんが、これから模写を始めてみたい方の参考になればうれしいです。
模写をする前に、まず文章を読んでみる
模写をする文章は、いきなり書き写すのではなく、まず一度読んでみるようにしています。そのときに見るのは、「この文章は、自分の文章の参考になりそうか」ということです。
たとえば、
こうしたことを考えながら読むと、模写する文章を選びやすくなります。
有名な文章だから、評価されている本だから、という理由だけで選んでしまうと、自分の目指す方向と合わないこともあります。
もちろん、普段は読まない文章に触れることも勉強になります。
けれど、模写に慣れないうちは、自分が「この文章、好きだな」「こんなふうに書けたらいいな」と思えるものを選ぶ方が続けやすいです。
まず読んでみる。そのうえで、参考になりそうだと思った文章を書き写してみる。
この順番にすると、模写がただの作業になりにくいと感じています。
句点ごとに行を変えてみる
わたしは模写をするとき、句点、つまり「。」ごとに行を変えて書き写すことがあります。
理由は、文章のリズムや一文の長さが見えやすくなるからです。
ふだん文章を読んでいるときは、内容を追うことに意識が向きます。
けれど、句点ごとに区切ってみると、
「この文章は一文が短いから読みやすいんだな」
「ここは少し長いけれど、読点の位置がよいから読みにくくないんだな」
「短い文と長い文が交互に入っているから、リズムがあるんだな」
というように、文章の形が見えやすくなります。
自分で文章を書いていると、つい一文が長くなりすぎたり、同じような長さの文が続いたりしがちです。模写をしながら一文ごとの長さを確認してみると、「読みやすい文章は、こういうバランスでできているのか」と気づきやすくなります。
ブログやnoteを書くときにも、この感覚はかなり役に立つと思います。
句読点や文字のバランスにも目を向ける
模写をするときは、文章の内容だけでなく、句読点や文字のバランスにも目を向けるようにしています。
たとえば、
こうした部分は、ただ読んでいるだけでは意外と見落としやすいところです。
けれど、実際に書き写してみると、「ここで読点を入れるから息がしやすいんだな」「ここをひらがなにしているから、やわらかく読めるんだな」と気づくことがあります。
読みやすい文章にするためには、言葉の意味だけでなく、見た目の読みやすさも大切です。
漢字が多すぎると固く見えますし、ひらがなが多すぎると少し読みにくくなることもあります。
改行が少ない文章は、内容が良くても圧迫感が出てしまうことがあります。
文章の模写は、言葉の勉強であると同時に、「読者にどう見えるか」を知る練習にもなるのだと思います。
語尾だけを書き出してみる
模写をしていて、特に勉強になると感じたのが「語尾」です。文章の印象は、語尾によって大きく変わります。
たとえば、
こうした悩みがある場合は、文章全体ではなく、語尾だけに注目して模写してみるのもおすすめです。
わたしは、模写をする際、文末だけを抜き出して書くことがあります。語尾だけを並べてみると、自分が好きな文章は、文末に独特の読みやすいリズム感のようなものがあることに気づきます。
断定するところ。
余韻を残すところ。
少しやわらかく言い切るところ。
あえて短く終えるところ。
そうした変化があるから、文章にリズムが生まれるのだと思います。
ブログやエッセイを書いていると、どうしても自分の言い回しのクセが出てきます。もちろん、それも個性のひとつですが、語尾の選択肢を増やしておくと、文章の印象を自分で調整しやすくなります。
文章全体を模写する時間がないときでも、「語尾だけ書き出す」練習なら短時間でできます。
これは、忙しい大人の学び直しにも取り入れやすい方法だと思います。
模写で気をつけたいこと
模写は決まったやり方がなく、それぞれが自由に取り組めるものです。
ただ、実際にいろいろ試してみるなかで、「これは少し身につきにくいかもしれない」と感じたやり方もありました。せっかく時間を使って模写をするなら、ただ書き写すだけで終わらせるのは少しもったいないです。
ここでは、わたしが模写をするときに気をつけていることをまとめます。
最初から長い文章に挑戦しない
模写を始めたばかりのときは、最初から長い文章に挑戦しすぎない方がよいと思います。
一冊まるごと書き写そうとしたり、長編小説の最初から最後まで模写しようとしたりすると、途中で疲れてしまう可能性があるからです。
もちろん、長い文章から学べることもたくさんあります。
全体の構成、話の流れ、読者を引き込む展開、章ごとのバランスなどは、ある程度まとまった文章を読んだり写したりすることで見えてくる部分です。
ただ、模写に慣れていない段階では、まず短い文章から始めた方が取り組みやすいです。
たとえば、
このくらいの範囲でも、実際に書き写してみると気づくことはたくさんあります。
まずは短く始める。
慣れてきたら、少しずつ長い文章にも挑戦してみる。
その方が、模写を「続けられる練習」にしやすいと思います。
いろいろな文章を一度に混ぜすぎない
模写をするときは、いろいろな文章を手当たり次第に写すよりも、最初はある程度方向を絞った方がよいと感じています。
たとえば、やさしいエッセイを書きたいのに、硬いビジネス書、幻想小説、ニュース記事、古典文学を毎日バラバラに模写していると、どんな文章を目指したいのかが見えにくくなることがあります。
もちろん、さまざまな文章に触れること自体はとても勉強になります。
語彙も増えますし、表現の幅も広がります。
けれど、模写に慣れないうちは、あまりにも方向性の違う文章を混ぜすぎると、自分の中で文章のリズムが散らかってしまうこともあります。
ブログを書きたいなら、読みやすいブログ記事。
noteを書きたいなら、好きなエッセイや日記。
小説を書きたいなら、自分が書きたい雰囲気に近い作品。
このように、まずは「自分が書けるようになりたい文章」に近いものを選ぶと、学ぶポイントが見えやすくなります。
模写は、文章の栄養を取り入れるようなものです。
あれもこれも一度に食べるより、今の自分に必要なものを選んだ方が、身につきやすいのだと思います。
他のことをしながら模写をしない
模写は、思っている以上に集中力を使います。
ただ文字を書き写すだけなら、音楽を聴きながらでも、テレビをつけながらでもできるかもしれません。けれど、それでは「文章を学ぶための模写」ではなく、「文字を写す作業」になってしまいやすいです。
模写をするときは、
こうしたことを見ながら書き写すことが大切だと思います。
そのため、できれば短い時間でもよいので、模写だけに集中する時間を作るのがおすすめです。長時間やる必要はありません。10分でも、15分でも、集中して文章と向き合う方が、なんとなく長く続けるよりも学びが多いと感じます。

文章のまとまりを意識して模写する
模写を習慣にすることは、とてもよいことだと思います。ただ、一回に書き写す量があまりにも少ないと、文章のリズムや流れがつかみにくいことがあります。
たとえば、一文だけ、あるいは一段落だけを毎日写していると、言葉の選び方は学べても、文章全体の運び方までは見えにくいかもしれません。
もちろん、忙しい日は一文だけでも十分です。何もしないより、少しでも続ける方が大切です。
ただ、時間が取れる日は、できれば数段落分、またはひとつの場面が終わるところまで写してみると、文章の流れが見えやすくなります。
わたしは、模写する文章を読むときに「ここまでなら一区切り」と思える場所を探すようにしています。
エッセイなら話題が切り替わるところ。
ブログなら見出しひとつ分。
小説なら場面が変わるところ。
このように区切りを決めておくと、途中でやめる場合でも文章の流れをつかみやすくなります。
模写したあとは、自分の文章で実践してみる
模写をしたあとに大切なのは、自分の文章でも試してみることです。
お手本の文章を書き写して「勉強になった」で終わらせるのではなく、その感覚が残っているうちに、自分でも短い文章を書いてみると、より学びが深まります。
おすすめは、日常のちょっとした出来事を書き出してみることです。
たとえば、
こうした何気ない出来事を、まずは箇条書きにしてみます。
たとえば、
このくらい簡単な内容で大丈夫です。
そのあとで、模写した文章のリズムや言葉の使い方を思い出しながら、自分の文章に書き直してみます。お手本の文章をそのまま使うのではなく、あくまで参考にするだけです。
「一文を少し短くしてみよう」
「語尾を変えてみよう」
「漢字を少しひらいて、やわらかくしてみよう」
「余韻が残る終わり方にしてみよう」
そんなふうに試してみると、ただ読むだけではわからなかった文章の工夫が、自分の中に少しずつ入ってくるように感じます。
模写は、書き写して終わりではありません。
模写で気づいたことを、自分の文章で試してみる。
ここまでやってはじめて、文章力を育てる練習になるのだと思います。
模写は「自分の文章」を育てるための練習
模写は、とてもよい勉強方法だと思います。
読みやすい文章のリズム。
語尾の変化。
言葉の選び方。
漢字とひらがなのバランス。
文章全体の流れ。
ただ読んでいるだけでは見過ごしてしまうことも、実際に書き写してみると見えてくることがあります。
ただし、模写はずっと誰かの文章をまねし続けるためのものではありません。あくまで、自分の文章を育てるための練習です。
最初は、好きな文章をお手本にしてもいいと思います。
むしろ「こんなふうに書けたらいいな」と思える文章があることは、学ぶうえで大きな力になります。
けれど、最終的に大切なのは、お手本の文章に近づくことではなく、自分の言葉で書けるようになることです。
模写を通して、
こうしたものを少しずつ学べたら、それだけでも十分な自己投資になると思います。
文章を書く力は、ブログやnoteだけでなく、仕事のメール、説明文、SNS、日記、自分の考えを整理するノートにも役立ちます。
大人になってからでも、文章力は少しずつ育てられます。そのための練習方法のひとつとして、模写を取り入れてみるのは、とてもよい方法だと感じています。
まとめ|模写は、文章力を育てる小さな自己投資
文章の模写は、ただお手本を書き写すだけの作業ではありません。
どんな言葉を選んでいるのか。
どこで文章を区切っているのか。
どんな語尾で終えているのか。
漢字とひらがなのバランスはどうなっているのか。
そうしたことに目を向けながら書き写すことで、文章の読みやすさやリズムを少しずつ学ぶことができます。
もちろん、模写をしたからといって、すぐに文章がうまくなるわけではありません。それでも、文章を書く力を身につけたい人にとって、模写は始めやすく、続けやすい学び直しの方法だと思います。
最初から完璧にやろうとしなくても大丈夫です。
まずは、好きな文章を短く写してみる。
気に入った語尾や言い回しを書き出してみる。
そして、自分の文章でも少し試してみる。
その小さな積み重ねが、書く力を育ててくれるはずです。
ブログやnoteを書きたい方、文章力を少しずつ伸ばしたい方は、無理のない範囲で模写を取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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