資格取得や学び直しのために参考書を買ったものの、
「最初から読んでも、なかなか頭に入らない」
「一度読んだはずのページでも、次の日には忘れている」
「1章読み終わるころには、章のはじめの内容をほとんど覚えていない」
そんな経験はないでしょうか。
わたしも40歳を超えてからの試験勉強で、「たった今、読んだのに思い出せない」と、我ながらがっかりすることがよくあります。
仕事や家事など、日々やることの多い40代。
やることだけではなく、覚えておかなければならないことも山ほどあります。
覚えておける量にも限りがあり、勉強に使える時間も限られているからこそ、参考書の内容を最初から最後まで暗記することを目標としてしまうと、うまく勉強が進まず途中で投げ出してしまう結果にもつながりかねません。
勉強を継続するうえで、わたしが最初の段階で大事にしているのは、「参考書のどこに何が書いてあるかが、なんとなく分かっている状態にする」こと。
はじめから書いてあることを覚えようとせず、まずは「これはこの章に書いてあった」「分からなければここを見ればいい」ということが把握できれば、勉強の効率は格段によくなります。
今回は、40代から資格取得や学び直しを始める人に向けて、わたしが実際にしている参考書を効率よく使う6つの方法を紹介します。
「参考書を買っても、いまいち上手に使えない」、「参考書を暗記しようとしているが、いつも苦戦している」という方の参考になれば幸いです。
40代の勉強では参考書を丸暗記しなくていい
まっさらの参考書って、わくわくしますよね。
参考書を買ってすぐは「絶対に合格する!」とモチベーションも高まっているので、知らない言葉が出てきても、新しい知識に対する興味と高揚感で覚えることも苦ではない人も多いのではないかと思います。わたしもそうです。
ですが、そんな新鮮さが抜けると、楽しく感じていたことが一気に億劫になり、「あとこんなに勉強しなくてはならない」という現実がつらくのしかかってきて、参考書を開くことさえ面倒に感じるようになる、なんてことはないでしょうか。
このような状態になってなお、まじめな方の中には、
と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、よほど記憶力にすぐれた人でない限り、最初からすべてを理解したうえで暗記するのは難しいです。
それでもなお無理に初志を貫こうとすると、覚えられないページから先へ進めなくなるという事態にもなりかねません。
参考書は、ただ「読んで暗記するだけのもの」ではありません。
もちろん、全部を理解したうえで覚えることができれば素晴らしいとは思います。しかし、多くの資格試験では、参考書の文章を一字一句丸暗記することが求められているわけではありません。
過去問や問題集を解いてみて、分からなかったら、参考書に戻って読み返す。
読んだはずだけど忘れていたときも、同じように読み戻る。
「分からなかった」「また忘れていた」なんて、いちいち考えない。
そんなふうに何度も同じページを見るうちに、無理やり暗記しなくても「これは前にも見た」と感じる箇所が少しずつ増えていきます。
なんの知識もない状態から「参考書から頭の中にデータを移そうとする意識で読んでしまう」と疲れてしまいます。
そうではなく、はじめのうちは「あれ、何だっけ?」となったとき、辞書のように見返しながら確認するものとして使うことをおすすめします。
物事を記憶する際、わたしがよくイメージするのは、頭の中にノートを思い浮かべる方法です。ただし、残念なことに頭の中には、4Hくらいの薄い色のえんぴつしかありません。
たとえば、覚えたい言葉があったとき、頭の中のノートにその言葉を書きます。でも、薄いえんぴつで書かれただけの状態ですから、覚えたはずなのに薄すぎて読めません。ですが、えんぴつの文字を上からなぞっていくイメージで何度も覚えると、次第に文字が太く濃くなって読めるようになってきます。
参考書を効果的に使う6つの方法
参考書は「メインの1冊」を決める
いざ勉強を始めてみると、自分が買った参考書より、ほかの参考書がよく見えることがあります。
「こちらのほうが分かりやすそう」
「こちらには載っていない情報が書いてある」
「評判がいいから、こちらも買っておこう」
たしかに、参考書はあればあるだけ、試験範囲を網羅できた安心感はあります。
以前、ITパスポート試験を受験しましたが、「こちらの参考書には載っているけれど、こちらの参考書には載っていない」という分野もありました。
しかし、参考書が増えれば増えるだけ、今度は「あれもしなければ」という心理的な負担や「どれを使えばいいのか」という迷いにもつながります。
もちろん、1冊の参考書ですべてを補えるとは思いませんし、2、3冊やっておいた方が安心という考え方も分かります。参考書では分からない部分を別の本やインターネットで調べる必要が出てくることもあるでしょう。
それでも、「メイン教材として使う参考書」を1冊決めておくことは、
などのメリットがあると、わたしは考えています。
参考書を読む前に過去問などの問題を解く
参考書を1ページ目から読み始める前に、一度、問題集や過去問を見てみるのもおすすめです。
最初から答えを見ずに問題に挑んでもよいのですが、わたしのおすすめは「まず、回答を見ながら解いてしまう」という方法です。
最初のうちは意味を知れることが楽しかった「知らない言葉」も、試験勉強に飽きてくると、次第にストレスになってくるものです。
「こんなことが聞かれるのか」
「この単語を覚える必要があるんだな」
などということが分かったうえで参考書を読むと、知っている言葉が多くなるので、何も知らない状態で読むよりも参考書を読み進めやすくなります。

わたしがITパスポートを勉強したときも、用語がさっぱり分からない分野などは、まずスマホアプリで過去問に触れ、その後で参考書を読むようにしていました。
答えを見ながらでも三度、四度と同じ問題に繰り返し答えていると、少しずつ知っている言葉が増えてきます。
参考書を最初から理解して、それから問題へ進む必要はありません。
過去問や問題集を答えを見ながら解く→同じ部分の参考書を読む→再度問題を解く
これをくり返していくうち、問題の正解数が増えるのと比例して、参考書の内容も次第に頭に入ってくるようになってきます。
読んだら何かひとつアウトプットする
参考書を読んでいると、中には「何となく分かったような気持ち」になる分野や用語が出てきます。
ところが、いざ問題を解いてみると答えられない。
とくに「応用力を問われる試験」では、そんなことも珍しくありません。
そこで、ある程度参考書を読み進めたら、一度アウトプットするクセをつけるようにしておきましょう。
アウトプットの方法としては、以下のような方法があります
大切なのは、参考書から頭の中に移行したデータが「正しく写せているか」を確認するつもりで、頭の中から取り出してみることです。
実際、学習した内容を自力で思い出す「検索練習」は、ただ繰り返し読むだけではなく、学習した内容の定着を助ける方法として研究されています。
定期的なアウトプットを意識するだけでも、参考書を読むだけの勉強から一歩進めます。
短い時間しか取れなくても参考書は開く
「勉強するなら最低でも1時間は必要」
そう考えてしまうと、忙しい日は勉強そのものを諦めてしまいます。
ですが、勉強時間は短時間でもいいんです。5分でも10分でも構いませんので、参考書は毎日開きましょう。
短い時間しかない、というのは、ある意味締め切りがあるようなものです。
締め切りに追われている状態のプレッシャーがあるからこそ、できることはあります。
また、学習の間隔を空けながら複数回に分ける「分散学習」は、一度にまとめて学習する方法より、長期的な記憶に役立つことが多くの研究で報告されています。
「今日は20分しかできなかった」ではなく「今日は20分は勉強できた」
せっかくがんばるのであれば、ぜひ、そう意識を変えてみてください。

わたしは、参考書をクリップで挟みとめて「そもそも参考書を閉じずに、常に机の上に広げておく」ようにしていました。個人的な好みですが、わたしは「開いたままの本」が好きではないので「早く試験を終わらせて閉じたい」という不快な気持ちになって、嫌でも勉強するようになれました。
開きっぱなしの本に嫌悪感がある方にはおすすめの方法かもしれません(笑)

分からないところはデジタルやAIで補う
参考書を読んでいるだけでは、言い回しが難しかったり、具体的な形状が想像できなかったりして、どうしても説明が理解できないことがあります。
そんなときは、ひとつの参考書にこだわらず、積極的に電子書籍や学習アプリを利用したり、インターネットで別の解説を探したりする方法を取りましょう。
最近では、ChatGPTなどのAIに、
「この言葉を初心者向けに説明して」
「具体例を使って説明して」
「○○との違いを教えて」
と聞くこともできます。
同じ内容でも、「使う言葉や説明の仕方が変わるだけで理解できた」ということは少なくありません。
ひとつの参考書を中心に進めるのは変えず、分からないところだけ別の道具で補う。
インターネットで検索してしまうと、つい、ほかの情報に目を奪われてしまいがちですが、ChatGPTなどのAIを使えば、分からない部分に絞って説明を求めることができるので、気を散らしにくい補助道具としても活用できます。
ただし、AIの回答には間違いが含まれることもあります。試験範囲や制度、法律、数値など正確さが必要な情報については、参考書や公式資料で最終確認することが大切です。
すべてを丸暗記しようとしない
資格取得のための勉強というと、どうしても「覚えること」に意識が向きます。
もちろん、試験では記憶力を問われる部分も大きいですし、試験によっては、必ず覚えなければならない言葉や数字もあります。
しかし、何もかも何の脈絡もなく、ただ暗記しようとすると大変です。
語呂合わせなどでうまく覚えられればよいですが、語呂がしっくりこずに覚えられない場合もあります。
そういうときは、「答え」を暗記するのではなく「理屈」や「論理」を理解するように意識してみてください。
たとえば、参考書にある問題と答えをセットで覚えようとするのではなく、
「なぜそうなるのか」
「これは何と関係しているのか」
「全体のどこに位置する話なのか」
そんな「理屈」や「論理」の部分を参考書でじっくり時間をかけて納得するまで読んでみましょう。これが納得できれば、記憶への定着は早まります。
「この橋を歩いてはダメだよ」と言われるより、「この橋は老朽化していて危険だから歩いてはダメだよ」と理屈を添えて言われたほうが記憶に残りませんか?
図にしたほうが分かりやすければ簡単な図を書いてもいいですし、似た言葉を並べて違いを確認してもよいでしょう。
それでも忘れることはあります。忘れたら、また参考書を開けばいいのです。
覚えていないことは決して失敗ではありません。
なぜなら、そもそも記憶していないことは「忘れた」「覚えていない」とさえ思えないからです。
「忘れた」と気づけるのは、一度はその情報に触れた証拠です。
忘れたり、分からなくなったりしたときは、すぐに調べ直すクセをつけておくと、次にその言葉に出会ったときは、前より少し覚えやすくなっているかもしれません。
まとめ|参考書は丸暗記せず「外部の記憶」として使う
今回紹介した参考書の使い方は、次の6つです。
- 軸になる参考書を1冊に決める
- 参考書を読む前に過去問などの問題を解く
- 読んだら何かひとつアウトプットする
- 短い時間でも参考書を開く
- 分からないところはデジタルやAIで補う
- すべてを丸暗記しようとしない
参考書を読んで、過去問にトライする。
あるいは過去問を解いてから、参考書を読んでみる。
分からないところがあれば、辞書を引くように、参考書に戻って読み直す。
忘れたら、もう一度読んでみる。
最初からそこに書かれた内容を完璧に覚えようとするのではなく、知りたいことにすぐにアクセスできる「辞書のような1冊」として手元に置いておく。
そして分からないと思うたびに読み返し、短い単元ごとにアウトプットを繰り返す。
参考書に書かれていることは、何度も読んでいるうちに、いずれ自分の頭の中に入ってきます。
そういう意味では、参考書はいわば「知識が自分の中に定着するまでの、外部にある記憶」です。
そうやって何度も参考書を行き来するうちに、少しずつ頭の中の文字がはっきりしてきて、知識がつながっていきます。
以上、わたしが参考書を使うときに意識している、効果的な使い方でした。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
Shana K. Carpenterほか「The science of effective learning with spacing and retrieval practice」Nature Reviews Psychology(2022)





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